はんだ合金の違いによる銅食われ比較試験

各種はんだ合金のやに入り糸はんだで、0.2㎜の銅細線をはんだ付けした。 そのはんだ付け部の断面より銅細線の面積を測定し、銅細線残存率を求めた。 はんだ付けロボット アポロ精工社製 J-CAT COMET コテ先温度 :400℃ 加熱時間 :5sec   はんだ合金 銅細線残存率(%) 1 Sn-3.0Ag-0.5Cu 66.8 2 Sn-0.7Cu 68.2 3 Sn-0.7Cu ∔Ni 74.3 4 Sn60-Pb 86.2 今回テストした鉛フリー合金は有鉛はんだと比較すると銅線がはんだ合金中に多く溶け込んで行き、 銅が食われ易いことが分かる。これは鉛フリー合金のSnの含有量が多いことに起因する。 また、鉛フリー合金にわずかにNiを添加することで、銅食われを抑制する効果が確認できた。

フラックスの活性剤について

はんだ付け性を向上させる働きを有する物質の事。 合金によってはんだ付け温度が変わるため使用する合金によって薬品を変えて活性温度を調整します。 例えば、錫銀銅合金の溶融温度は、217℃、錫ビスマス合金の溶融温度は、139℃です。 活性剤の種類としては複数ありますが、一般的なものとしては、ハロゲン、有機酸、無機塩等が挙げられます。 活性の強弱で酸化物を除去する力が変わります。 強すぎると主には腐食や絶縁が下がるという問題が生じます。 逆に弱すぎるとはんだ付け性が劣ります。 耐熱性の弱い活性剤は、長時間加熱されると、分解、蒸発、または反応して違う物質となり活性を失います。つまりその状態になるとはんだ付けができません。 不活性化を防ぐためには、条件に適した活性剤を使用する事が重要です。 例えば、糸はんだの場合は加熱時間が短いため、はんだ付け作業は数秒で終わります。熱は瞬時に上がってすぐに下がるため耐熱性の弱い活性剤でもはんだ付けを行う事ができます。 一方で、ソルダーペーストの場合、リフロー炉に入り150℃~180℃位で1、2分のプリヒートがあり、その後、240℃~250℃まで温度を上げて30秒~1分加熱します。このように長い時間加熱される場合には耐熱性の高い活性剤を選択します。 関連情報:フラックスの役割について

有鉛はんだについて

有鉛はんだとは、鉛を含むはんだの事です。 一方で、鉛を含まないはんだは無鉛はんだ、鉛フリーはんだと呼ばれます。 EU圏のRoHS(ローズ)指令になどよって近年開発され、今では無鉛はんだがスタンダードになりました。 一般的には、有鉛はんだ=共晶はんだ、と言われることもありますが、厳密には、両者は異なります。 どちらも鉛を含むはんだではありますが、共晶はんだは錫63%鉛37%の配合からなるはんだの事。 錫と鉛はんだの融点が183℃に共晶点を持つことから、183℃で溶けて液体となるはんだの事です。 この配合以外の鉛入りのはんだは、有鉛はんだという事になります。 有鉛はんだの一般的な共晶はんだは、濡れ性が良く、表面に光沢があり仕上がりがきれいです。またはんだの溶ける温度も低い為、はんだ付け作業がしやすいです。 無鉛はんだも濡れ性を良くするために工夫はされていますが、有鉛はんだの濡れ性には及びません。 はんだ自体が固い合金が多く、有鉛はんだの一般的な共晶はんだより、はんだ付け強度は高いです。また比重が軽いため、製品自体の重さを軽くできます。 弊社ではご要望に応じて有鉛はんだのご提供もしていますが、無鉛はんだが主となります。 現在、次の6種類のはんだをご用意しています。   合金名 金属組成 固相温度 液相温度 フラックス 鉛フリーはんだ KS218 Sn-3.0Ag-0.5Cu 217℃ 219℃ SUPER NEO U-X KS221 Sn-3.5Ag 221℃ 221℃ …