はんだ、フラックスの飛散原因と対策について

飛散発生のメカニズム

やに入りはんだ飛散のメカニズム

解説
①やにはんだにはんだごて当てると、はんだ合金が溶解する前に中にあるフラックスが軟化する
②軟化し始めたフラックスは、気泡やガスを発生する。発生した気泡やガスは、密閉された状態で圧力が高くなる
③はんだ合金が溶解した時、特に高くなった圧力が開放され、フラックスやはんだを飛散させる

はんだ、フラックスの飛散原因

コテ先温度

コテ先温度が高いほどガスが発生しやすいため、上述した通り密閉された状態で圧力が高くなり、はんだ溶解と同時にフラックスやはんだが飛散しやすくなると言えます。

はんだ供給速度

コテ先にはんだを供給する速度を速くすると、溶けたはんだの中にはんだ線を埋没させることになる。そうするとはんだ線が急激に加熱され飛散が発生しやすくなります。

吸湿している基板や部品

吸湿している基板や部品へのはんだ付けの場合、はんだ付けの際、水分が突沸し飛散しやすくなります。
またメッキが施されている部品の場合、メッキ内部にメッキ液が残っていると、やはり飛散しやすくなります。
これらは濡れ不良の原因にもなります。

フラックスの含有量

やに入りはんだのフラックスの含有量を減らすことで、飛散しにくくなる傾向にはあると言えますが、フラックスが少なすぎるとはんだ付け性が落ちます。
やに入りはんだやフラックスについては次のページでも説明しています(フラックスの役割)(やに入りはんだとは?)。

フラックス内の成分「ロジン」や「活性剤」

水分を多く含むような活性剤をフラックスに使っていると飛散しやすくなります。
またロジン自体も、わずかながら水分を含むものがあるため、水分が残っているロジンを使うと飛び散りの原因になる場合があります。

飛散防止と対策

温度設定

手はんだ付けの場合も、ロボットはんだ付けの場合も、設定温度は必要以上に高くしないことが大切です。

はんだ送り速度

特にロボットはんだ付けの場合は、はんだの送り速度を極端に高くしないこと(10mm/sec以下)。
手はんだ付けの注意点に関しては次のページでも説明しています(はんだ付けの注意点等)。

基板や部品

はんだ付けする基板や部品に関して、劣化、吸湿等を避けるため取り扱いや保管には十分注意を払ってください。

やに入りはんだにV溝加工を施す

やに入りはんだにV溝加工を施すことで、フラックスのガスは切れ目から排出されるため飛散を防止する事が出来ます。

まとめ

弊社では、はんだ、フラックスの飛散を防ぐために、やに入りはんだに使用するフラックスには十分に管理し使用しています。
但し、それでもはんだ、フラックスの飛散を十分に防止するのは難しいため、事前にやに入りはんだにV溝加工を施す「Shell-RC」という技術を確立しました。
V溝加工が施されたやに入りはんだを使用する事で、弊社試験結果では、ほぼ100%のはんだ・フラックスの飛散防止に成功しております。

このやに入りはんだを使用するメリットとしては、
・はんだ付け作業の都度、V溝加工をする手間が省ける
・通常のやに入りはんだ同様に、長期保管が可能である

という点が挙げられます。