はんだ、フラックスの飛散原因と対策について

コテ先温度 コテ先温度が高いほどガスが発生しやすいため、上述した通り密閉された状態で圧力が高くなり、はんだ溶解と同時にフラックスやはんだが飛散しやすくなると言えます。 はんだ供給速度 コテ先にはんだを供給する速度を速くすると、溶けたはんだの中にはんだ線を埋没させることになる。そうするとはんだ線が急激に加熱され飛散が発生しやすくなります。 吸湿している基板や部品 吸湿している基板や部品へのはんだ付けの場合、はんだ付けの際、水分が突沸し飛散しやすくなります。 またメッキが施されている部品の場合、メッキ内部にメッキ液が残っていると、やはり飛散しやすくなります。 これらは濡れ不良の原因にもなります。 フラックスの含有量 やに入りはんだのフラックスの含有量を減らすことで、飛散しにくくなる傾向にはあると言えますが、フラックスが少なすぎるとはんだ付け性が落ちます。 やに入りはんだやフラックスについては次のページでも説明しています(フラックスの役割)(やに入りはんだとは?)。 フラックス内の成分「ロジン」や「活性剤」 水分を多く含むような活性剤をフラックスに使っていると飛散しやすくなります。 またロジン自体も、わずかながら水分を含むものがあるため、水分が残っているロジンを使うと飛び散りの原因になる場合があります。 温度設定 手はんだ付けの場合も、ロボットはんだ付けの場合も、設定温度は必要以上に高くしないことが大切です。 はんだ送り速度 特にロボットはんだ付けの場合は、はんだの送り速度を極端に高くしないこと(10mm/sec以下)。 手はんだ付けの注意点に関しては次のページでも説明しています(はんだ付けの注意点等)。 基板や部品 はんだ付けする基板や部品に関して、劣化、吸湿等を避けるため取り扱いや保管には十分注意を払ってください。 やに入りはんだにV溝加工を施す やに入りはんだにV溝加工を施すことで、フラックスのガスは切れ目から排出されるため飛散を防止する事が出来ます。 弊社では、はんだ、フラックスの飛散を防ぐために、やに入りはんだに使用するフラックスには十分に管理し使用しています。 但し、それでもはんだ、フラックスの飛散を十分に防止するのは難しいため、事前にやに入りはんだにV溝加工を施す「Shell-RC」という技術を確立しました。 V溝加工が施されたやに入りはんだを使用する事で、弊社試験結果では、ほぼ100%のはんだ・フラックスの飛散防止に成功しております。 このやに入りはんだを使用するメリットとしては、 ・はんだ付け作業の都度、V溝加工をする手間が省ける ・通常のやに入りはんだ同様に、長期保管が可能である という点が挙げられます。

ソルダーペーストの粒径について

ソルダーペーストの粒径は、印刷時の印刷性に影響します。 具体的には、メタルマスクの穴のサイズに適したソルダーペーストを使わないとうまく印刷ができません。 部品のサイズによってメタルマスクの穴のサイズが異なるため、そのサイズに合わせて粒径を変える必要があります。 ソルダーペースの粒径の種類は、一般的には次の通り8種類あります。 75~150ミクロン 45~75ミクロン 25~45ミクロン 20~38ミクロン 15~30ミクロン 5~10ミクロン 2~12ミクロン 2~8ミクロン この中でよく使われるサイズは、3もしくは4になります。 粒径は使う部品の大きさで決まります。現状、民生用電子機器のサイズに合わせると3もしくは4のサイズとなります。スマートホン等の小型電子機器の場合には、4もしくは5が使われることになります。 関連情報:ソルダーペーストとは?

フラックスの活性剤について

はんだ付け性を向上させる働きを有する物質の事。 合金によってはんだ付け温度が変わるため使用する合金によって薬品を変えて活性温度を調整します。 例えば、錫銀銅合金の溶融温度は、217℃、錫ビスマス合金の溶融温度は、139℃です。 活性剤の種類としては複数ありますが、一般的なものとしては、ハロゲン、有機酸、無機塩等が挙げられます。 活性の強弱で酸化物を除去する力が変わります。 強すぎると主には腐食や絶縁が下がるという問題が生じます。 逆に弱すぎるとはんだ付け性が劣ります。 耐熱性の弱い活性剤は、長時間加熱されると、分解、蒸発、または反応して違う物質となり活性を失います。つまりその状態になるとはんだ付けができません。 不活性化を防ぐためには、条件に適した活性剤を使用する事が重要です。 例えば、糸はんだの場合は加熱時間が短いため、はんだ付け作業は数秒で終わります。熱は瞬時に上がってすぐに下がるため耐熱性の弱い活性剤でもはんだ付けを行う事ができます。 一方で、ソルダーペーストの場合、リフロー炉に入り150℃~180℃位で1、2分のプリヒートがあり、その後、240℃~250℃まで温度を上げて30秒~1分加熱します。このように長い時間加熱される場合には耐熱性の高い活性剤を選択します。 関連情報:フラックスの役割について

有鉛はんだについて

有鉛はんだとは、鉛を含むはんだの事です。 一方で、鉛を含まないはんだは無鉛はんだ、鉛フリーはんだと呼ばれます。 EU圏のRoHS(ローズ)指令になどよって近年開発され、今では無鉛はんだがスタンダードになりました。 一般的には、有鉛はんだ=共晶はんだ、と言われることもありますが、厳密には、両者は異なります。 どちらも鉛を含むはんだではありますが、共晶はんだは錫63%鉛37%の配合からなるはんだの事。 錫と鉛はんだの融点が183℃に共晶点を持つことから、183℃で溶けて液体となるはんだの事です。 この配合以外の鉛入りのはんだは、有鉛はんだという事になります。 有鉛はんだの一般的な共晶はんだは、濡れ性が良く、表面に光沢があり仕上がりがきれいです。またはんだの溶ける温度も低い為、はんだ付け作業がしやすいです。 無鉛はんだも濡れ性を良くするために工夫はされていますが、有鉛はんだの濡れ性には及びません。 はんだ自体が固い合金が多く、有鉛はんだの一般的な共晶はんだより、はんだ付け強度は高いです。また比重が軽いため、製品自体の重さを軽くできます。 弊社ではご要望に応じて有鉛はんだのご提供もしていますが、無鉛はんだが主となります。 現在、次の6種類のはんだをご用意しています。   合金名 金属組成 固相温度 液相温度 フラックス 鉛フリーはんだ KS218 Sn-3.0Ag-0.5Cu 217℃ 219℃ SUPER NEO U-X KS221 Sn-3.5Ag 221℃ 221℃ …

ソルダーペーストとは?

基板実装工法の一つSMT(Surface Mount Technology)工法に使われるクリーム状のはんだの事。 1.印刷 ⇒ 2.マウント(部品を乗せる) ⇒ 3.リフロー炉ではんだ付けを行うという工程で使われます。 別名、クリームはんだとも呼ばれますが、この呼び方は日本特有のもので 近年は、国内でもソルダーペーストと呼ばれることが多いようです。 ソルダーペースの成分は、一般的には、錫、銀、銅のはんだ粉末が約9割、残りはフラックスで構成されます。 ソルダーペーストに求められる特有の性能は、印刷性や粘着性、粘度安定性等。 印刷性が悪いと形が崩れてはんだ付け不良につながり、はんだ粉末とフラックス成分によって印刷性を向上させることが求められます。また安定した印刷性を保持するため、粘性の変化が少ないことも重要です。 そして、SMT工法の流れの中で部品をしっかりと保持する必要がありますので、適切な粘着性も同様に求められます。 弊社では現在大きく分けて、それぞれ特徴の異なる次の3種類のソルダーペーストを用意しております。 編集   製品名 金属組成 固相温度 液相温度 フラックス含有量 粘度 特性 鉛フリーソルダーペースト MK-E508RMA KS218 Sn-3.0Ag-0.5Cu 217℃ 219℃ 11% 170Pa・S …

通常のやに入り糸はんだとShell-RCの溶ける速さを比較

通常のやに入り糸はんだとShell-RCの溶ける速さを比較しました。 加熱:リフローシミュレータ(※) 弊社Shell-RC技術は、フラックスの飛散を防止できるという点が一番大きな特長ではありますが、製造直後の状態を常に維持したまま保管ができるという特長も有しています。 その特性から、一般的なやに入りはんだと比べ、はんだ付けの作業性が向上します。 この動画は、通常のやに入りはんだとShell-RCとを、製造後、約6ヶ月間室内で放置させ試験を行った様子です。 動画を見るとShell-RCの方が若干早く溶けているのが確認できます。 通常のやに入り糸はんだは6ヶ月間室内で放置することで、見た目ではわかりませんがわずかにはんだ表面の酸化が進行します。 一方Shell-RCは、はんだ表面をコーティング剤が覆っているため、はんだ表面を保護し酸化が進みません。 そのため、Shell-RC技術を使って製造されたはんだは、通常のやに入りはんだと比較して、製造直後の状態を長い期間、維持することができます。 そのため溶ける速さに差が生まれ、実際のはんだ付けでもスーッと溶けることで作業性が向上します。 ※リフローシミュレータとは? リフロー炉の温度プロファイルを再現しながらはんだの溶融課程を観察できる装置。 参考:https://malcom.co.jp/products/srs-1c.php

ロボットはんだ付けに使うやに入りはんだ

ロボットはんだ付けは、生産現場によって設定される条件が異なってきます。 そのため弊社では、様々な条件に対応できるやに入りはんだの提供に努めております。 異なる条件に対応するために弊社では主に、フラックス含有量とはんだの線径にこだわっております。 フラックス含有量を増やすことではんだ付け効果が高まります。 フラックス含有量を増やすことで、はんだ付けロボットの様々な条件においても対応が可能です。 現在、8%までフラックス含有量を増やしたやに入りはんだの製造が可能です。 通常、やに入りはんだのフラックス含有量を増やすことで外側の金属がその分、薄くなり、どうしても切れやすくなりますが、弊社の伸線加工技術を活かすことで、フラックス含有量の多いやに入りはんだの製造が実現しています。 フラックス含有量を増やすことではんだ付け効果が高まります。 ロボットはんだ付けする合金や部品の種類や形状等によって、ヤニ入りはんだの線径を最適なサイズにすることでより効率的なはんだ付けが実現します。 弊社では、現在、ご要望に応じて0.2mm~5mmの線径のヤニ入りはんだのご提供が可能です。 0.2mmの細い線径の糸はんだを製造する場合、やはりどうしても切れやすくなります。 弊社では、熟練技術者の技能を活かすことで、細い線径の糸はんだの製造を実現しています。 ロボットはんだ付けに関しても、手はんだ付け同様にはんだやフラックスの飛散が生じます。 弊社では、飛散防止のために開発したShell-RCという技術を使ったやに入りはんだを製造しています。 飛び散りしないやに入りはんだ「Shell-RC」 現在、ロボットはんだ付けにおいて問題を抱えているという企業様は、一度、ご連絡頂ければ幸いです。 最後に、様々な条件、合金による、弊社やに入りはんだのはんだ付けロボットを使用した検証試験動画の一部を、以下、掲載します。 参考までにご覧頂ければ幸いです。

QFNへのはんだ付けについて

中国の企業様より、QFNのはんだ付けにおいて濡れ上がりを向上してほしいとの相談がありました。 一般的にリフローオーブンを使用したQFNへのはんだ付けに関しては、それほど難しいものではないと考えますが、 濡れ上がりを良くするための製品が弊社にはなかったため、新たに開発を行いました。 弊社独自の配合で完成したのが「QNF対応ハロゲンフリーソルダーペースト」です。 これは通常のソルダーペーストと弊社製品との濡れ上がりの比較動画です。 通常のソルダーペーストと比べ、かなり上の方まで濡れ上がっているのが確認できます。 ボイドが少ないのも特長のひとつです。この弊社商品は、現在、サンプルの提供が可能です。 こちらの企業様同様に、QFNへの濡れ上がりを良くしたいという企業様は、是非、お試し頂ければ幸いです。 フラックスはハロゲンフリータイプです。 特性値等の詳細に関しましては、次のページでご確認ください。 QNF対応ハロゲンフリーソルダーペースト

ステンレスへのはんだ付けについて

ステンレスへのはんだ付けは、銅と比べてかなりはんだ付けしづらいです。 ステンレスは、一般的に鉄・ニッケル・クロムの合金です。 鉄もニッケルもクロームもはんだ付けしづらい金属であり、ステンレスの酸化膜の強さは ニッケル以上であるため、ニッケルよりも更にはんだ付けしづらい金属と言えます。 ステンレスへのはんだ付けは、通常のやに入りはんだでは対応できません。 そのため、はんだ付け性を向上させた、やに入りはんだやフラックスを使用する必要があります。 弊社では、特にステンレス用のものではありませんが、ステンレスへのはんだ付けも可能な「UX」という商品がございます。 この商品は、松脂は通常のやに入りはんだと同じですが、通常とは異なる特性を持つ活性剤を使う事で はんだ付け後の信頼性を保ちつつ、はんだ付け性を向上させ、ステンレスにもはんだ付けできるものとなっています。 参考までに弊社UXを使ったSUS(ステンレス鋼)へのはんだ付け動画をご覧下さい。 【動画の説明】SUSは表面酸化が強いので腐食しません。 高温のコテ先を当てると更に酸化が進みフラックスの効果が得られません。 はんだの上からコテ先を当てることで先にフラックスが流れ出てSUS表面を覆い酸素を遮断した状態での加熱によりフラックス効果が得られます。SUSはこの方法以外でのはんだ付けは難しい。 はんだを先に供給する方法は「挟みはんだ」といわれますがフレクトロニクス(EMS世界大手)は作業マニアルにしています、はんだの飛散対策にも効果があります。 はんだ付けははんだゴテにはんだを当てて溶かすのではなくコテ先ではんだを溶かします。 また、ステンレス用の水溶性フラックス(スーパーマルチフラックス)をご用意しております。 ステンレスへのはんだ付けでお困りの際には、是非一度、お試し頂ければ幸いです。

ニッケルへのはんだ付けについて

ニッケルへのはんだ付けは、アルミやステンレスほどではありませんがやはり銅と比べると付きにくいです。 それはニッケルの金属表面の酸化膜の強さが関係しています。 ニッケルは酸化膜が強いためフラックスで除去しづらい事がはんだ付けしづらい原因であると考えられます。 通常のやに入りはんだでもはんだ付けできないことはありませんが、 ニッケル専用のフラックスを補助剤として使う事で、この問題を解消する事が出来ます。 弊社では、次のようなニッケル専用フラックスを提供しております。 ニッケル用液体フラックス 松脂は通常のやに入りはんだと同じですが、通常とは異なる特性を持つ活性剤を使う事でニッケルへのはんだ付け性を向上させています。 参考までに、弊社ニッケル専用フラックスの濡れ性を確認するための動画をご覧ください。 通常のフラックスでは、この動画のようにはんだが走るように濡れる事はありません。 弊社にもニッケルへのはんだ付けに関しての相談を時々頂きますが、 このニッケル専用フラックスを補助剤としてお使い頂く事で、問題が解決しています。 ニッケル用液体フラックス