
Q. 株式会社小島半田製造所は社長で3代目ということですが、子供の頃から家業を継ぐという気持ちだったのでしょうか?
私は姉、妹に挟まれた唯一の男でしたので、幼い頃から自分が会社を継ぐことになるというような教育を受けてはいましたね(笑)。
その影響もあって、自然に自分の生業と考えることができました。
Q. 取締役時代も含めて数十年間、お仕事をされてきたわけですが、この仕事で一番苦労した事、今でもしてる事は何でしょうか?
私の入社当時は、私の幼少期を知っている方ばかりでした。その方たちの厳しいご指導のもといろいろ教わりました。
重量物を持つコツがわからず、腰を痛めること数知れずといった感じです。そしてやっぱり溶解窯がとにかく暑い(笑)。
そこの担当者はホントに大変です。かなり過酷ですので、特に夏場は休み休みという事を心がけています。
経営的なことでいえば、手間がかかる割にそれほど利益のでる商売ではないので、そこはやはり厳しいですかね(笑)。
しかし、はんだ合金は電子部品の発達に伴い、使用用途、形状は変化しております。
この変化についていけるように、はんだ合金、はんだ付けのことを思い巡らせ、どのようにすればよりよいはんだ付けができる材料になるのか、使用してくださるお客様がよろこんでいただけるのか。
この点を模索続けるのが苦労であり、楽しみです。
Q. かなり歴史のある会社ですが、先々代、先代の時代から引き継いで今でも大切にしている事はありますか?
生産設備、工具も含めて大切にする。また、何かの縁でこの会社でともに時間を過ごす。一つのものを設計、製造していく仲間です。
また、自分たちの製品にも心を込めて、お客様の立場にたった製品を作る気持ちです。
そういう意味で、弊社の製品は、「真面目で」「嘘をつかない」そんな製品になっています。
Q. この仕事の魅力について教えてください。
“はんだ”は歴史の長い金属ですが、まだまだ未知の部分が多い金属です。
錫鉛から鉛フリーに変わってまだ歴史が短い。
錫鉛自体もしっかりと解明できないまま、今現在は、鉛の環境汚染という指摘で、鉛を使用しない錫、銅、銀の混合金属がメインになりました。
はんだは融点が低い金属であり、単純工程で簡単に製造可能です。でも実は謎が多い金属です。
最近は、鉛がなくなって錫がむき出しになってきたので錫のあまり良くない特性等が出やすい状態にはあると言えます。
その細かいところまで突き詰めて研究していくと、もっと色んな特性の“はんだ”を作れるではないかといつも考えています。
また素材の特性を解明することで、本来の正しい使い方等も理論付けることができるのではないかと考えています。
そういったところが、この仕事の魅力とも言えるのではないでしょうか。
最近は、電子部品もどんどん小さくなってきていますし、昔ながらの大量生産方法では対応できないところまで来ていると感じます。
現在の電子部品に求められる“はんだ”とはどんな“はんだ”なのかをもっと突き詰めて考えていくと、今お話ししたような使用する金属の不純物等にまで目をつけていかないと市場の要望に応えるのは難しいと思っています。

Q.“はんだ”メーカーとして今後どのような“はんだ”を作りたいですか?
特別な技術がなくても誰でも簡単に安心してはんだ付けできる、そんな“はんだ”を作りたいですね。
そのためには今以上に高品質の、そして用途に応じた“はんだ”の開発と提供が必要です。
将来的にスーパーコンピューターに使われるような電気の流れが驚くほど向上した“はんだ”を作れたらうれしいですね(笑)。
Q.最近、お客様に喜ばれたことで印象に残っていることはありますか?
最近では「音」ですね。こういう“はんだ”の作り方をすればホントに「音」良くなるんだね!って感動された事です。
理屈のついた製法による「音」の良さですねって言って頂けました。(“コジマのはんだ”)
Q.具体的にはどういう「音」の良さなんですか?
不純物を含まない“コジマのはんだ”で、オーディオ機器の配線部分をつなぐわけです。
私は音楽のことはよくわかりませんが(笑)
どうやら、はんだの種類と製法によって伝える電気信号が変化するみたいなんです。
私もレコーディング現場に立ち会ったんですが、
この“コジマのはんだ”を使うと、従来の音響用はんだよりも音に厚みが感じられます。
一番の発見は、はんだで音が変わるという現象を今回解明できた事です。